贅沢品が禁じられていた江戸時代、さりげないお洒落を愉しむため、武士の着物に用いられるようになったという「江戸小紋」柄のチーフです。「江戸小紋」は、遠目には無地に見える細かな模様が特徴。縁起のいい柄として町人たちの着物に用いられた「いわれ小紋」の柄を合わせて、2色の伝統色で染め上げました。
「常磐緑」は、クリスマスツリーで知られる柊に近い色で、神事に用いられたことから、神聖な意味合いが込められています。柄である「菊唐草」は、皇室でも使われている高貴な柄である菊模様と、長らく日本人に愛されている唐草模様が合わさったもの。藍染めのもっとも淡い色である「瓶覗(かめのぞき)」は、藍瓶を除いた程度にちょっとだけ染めた、という意味。「菱」柄は古くからある日本の柄で、菊と組み合わせることで気品のある模様として用いられてきました。
デザイナーの南出優子によるデザインを、明治のはじめから約130年もの歴史を誇る「富田染工芸」五代目の富田篤が、色の調合から染色まですべて手作業で仕上げました。素材には、着物の高級裏地にも使用される「羽二重」を使用。光沢感のあるシルクのやわらかな肌触りと、折るごとにさまざまな表情を見せる伝統柄の組み合わせをお楽しみください。
素材:羽二重 絹100%
サイズ:H330mm×W330mm
Made in JAPAN
工房:富田染工芸
東京・新宿の地場産業「東京染小紋」・「江戸更紗」の伝統と技を継承している「富田染工芸」。明治初めに浅草の馬道で初代が創業。東京染小紋の老舗として、伝統と技を現代にも継承しております。また、創業より使用されている、12万枚を超える型紙が保存されており、現在でもそれらの型紙を使用して染小紋を行っている。
職人:富田 篤
デザイナー:南出優子